2025年度照明学会九州支部 優秀照明施設見学会報告
「SEED1931」「ザ スタジアム ブリュー ナガサキ」の見学

 九州支部では2008年以来となる優秀照明施設見学会を2024年に再開し、2025年は、2025年度の照明施設賞受賞施設および優秀照明施設九州支部長賞受賞施設のうち、長崎県諫早市の「SEED1931」と長崎市の「ザ スタジアム ブリュー ナガサキ」の2か所を見学しました。以下にその実施概要を報告します。

1. SEED1931

【日 時】2025年10月21日(火)13:00〜14:30
【場 所】諫早市本町5-1
【参加者】13名(うち講師2名、支部幹事5名)
【講 師】清水建設株式会社 古賀清和氏、森谷真帆氏
【実施内容】
 SEED1931は、1931年に竣工した旧十八銀行諫早支店の建物を耐震補強し、復元、増築したもので、当時の技術の再現と最新技術の採用により、建築の歴史的価値の保存継承と新しい価値の創出を実現している。当時の意匠を復元した本館部分と現代の意匠の増築部分は違和感なく融合し、新築された立体駐車場との接続空間も巧みに設計されており、商店街の中心的なランドマークとなっている。
 見学会では、初めに2階の応接室において施設概要、建築計画、照明計画などについて説明を受け、質疑応答を行った後、1階の店舗、屋外、2階のオフィスを見学した。見学中は講師と参加者の間で活発な質疑応答が行われた。1階は主にカフェレストランに供されており、テーブルや椅子があることで、照明施設賞の応募書類からは感じ取りにくい活きる空間を体験することができた。最後に、再び2階の応接室において質疑応答を行い、解散した。

商店街より望む
商店街より望む
復元した本館部分
復元した本館部分
1階カフェレストラン
1階カフェレストラン

2.ザ スタジアム ブリュー ナガサキ

【日 時】2025年10月21日(火)16:00〜17:00
【場 所】長崎市幸町2-1 長崎スタジアムシティ2階・3階
【参加者】10名(うち講師1名、支部幹事5名)
【講 師】株式会社リージョナルフーズ長崎 出田光氏
【実施内容】
 ザ スタジアム ブリュー ナガサキは、長崎スタジアムシティを構成する施設の一つで、1階で醸造したビールを2階のレストランと3階のバーで提供している。3階のバーは、サッカースタジアムと直結しており、店舗とスタジアムの境界をなすガラスのウォールドアを開くと、文字通り空間は一体となる。サッカースタジアムでビールを醸造という点だけでなく、座席からピッチまで最短で5 m、試合などチケットコントロールが要る場合を除いて、日常的にオープンである点など、これまでのスポーツ施設にはないユニークなアイディアが種々盛り込まれている。長崎スタジアムシティは、都市型公園の新しい形を提示しているとも言える。
 見学会では、初めに2階のレストランにおいてザ スタジアム ブリュー ナガサキを含む長崎スタジアムシティの施設概要や店舗計画などについて説明を受け、見学と質疑応答を行った後、3階へ移動してバーとスタジアムを見学し、質疑応答を行った。SEED1931と同様に、照明施設賞の応募書類の限られたスペースには収めきれない特別な空間体験を味わうことができた。


2階レストラン

2階レストラン

2階レストラン

3階バー

3.おわりに

 参加者の皆様をはじめ、講師の皆様、株式会社九州ガスホールディングス、清水建設株式会社、大光電機株式会社、株式会社リージョナルフーズ長崎の皆様のご協力により、大変充実した有意義な見学会でした。照明施設賞の応募書類には収めきれない現場の様子、周辺施設との関係、実用に供され活きる空間を実地で体験することができました。心よりお礼申し上げます。
 今回、参加が叶わなかった会員・賛助会員の方々には、諫早市や長崎市へお越しの際に是非立ち寄って、食事や飲み物と共に照明施設を楽しんでいただきたく存じます。