平成21年度東京支部技術セミナー
-光と生体リズム- 心地よい眠りと目覚め、活力とやすらぎを求めて 実施報告

当支部では毎年さまざまな視点からセミナーを企画し、開催しています。
今回は「光と生体リズム」をテーマに、日常生活の中で何気なく接しているさまざまな光が人々の健康や人体に及ぼす影響について専門家の講師4名をお招きし、知識向上の場となりました。

講演プログラム

13:00 〜 受付開始 
13:30 〜 開演挨拶
13:35〜14:25 講演1 生体リズムの同調にかかわる光受容器の発見と特性
講師:東海大学 高雄 元晴 氏
14:25〜14:55 講演2 子どもの生体リズムと光環境
講師:高知大学 原田 哲夫 氏
14:55〜15:25 講演3 光とメラトニン
講師:九州大学 樋口 重和 氏
15:25〜15:50  講演4 照明への応用についての最新動向
講師:パナソニック電工(株) 野口 公喜 氏
休  憩
16:00〜16:50 各講師によるパネルディスカッション
17:00 閉演

平成22年2月18日当日は照明学会会員はじめ、光の生理的効果について関心を持たれた一般参加者など 計53名の参加となり、講師の方々の講演をメモに取る人や、パネルディスカッションへの質問など熱心な参加者の姿が見られました。

講演(1)の高雄先生のお話では、睡眠と密接にかかわる生体リズムについてそのしくみをわかりやすく説明頂き、人間の体内時計の役割をもつさまざまな神経機能の調節 に「光」の影響が大きい事、また、光を浴びる時間帯や光の質などによりその影響も異なる事がわかりました。
講演(2)の原田先生のお話では、更に子どもの生体リズムへの影響を詳しく説明され、日常を取り巻く光環境によってさまざまな問題があることを知る事ができました。特に最近の24時間型社会による環境の中で、0〜8歳児頃の子どもについては、夜間に浴びる照明光の色や時間帯により睡眠不足や夜型化を招くほか、早朝の光環境が子どもの覚醒効果に重要である事など、照明光が人間に及ぼす影響の強さを感じました。
講演(3)は樋口先生より、季節性感情障害から夜のパソコン作業、夜勤時の光と健康(乳癌の発生リスク)などについて光とメラトニンの関係を詳しくお話頂き、光の波長(色)の違いから検討した対応方法なども紹介頂きました。
講演(4)の野口講師からは、3名講師の方々のお話を総合し、光が及ぼす生体への影響について海外研究の動向と学会が今取り組んでいる状況についてをお話頂きました。

講師4名による講演風景


講演(1):東海大学 高雄 元晴 氏


講演(2):高知大学 原田 哲夫 氏


講演(3):九州大学 樋口 重和 氏


講演(4):パナソニック電工(株) 野口 公喜 氏


講演会場 パネルディスカッション風景


参加者の質疑応答風景

各講師の講演後、4名の講師の方々によるパネルディスカッションでは、今日新しい光源などの開発により、日常生活の照明環境が変化していく中で、より良い生活のための照明環境についてさまざまなお話を頂きました。

 また、照明学会では、『生物時計への光の作用に関する照明学会推奨基準』を検討するため、現在調査活動を行っています。今後は調査内容を纏め基準書の発行を進める予定です。
なお、今回の技術セミナー資料も、在庫限りご希望の方へ販売しています(1部1,000円 税込)。ご希望の方は事務局までお問い合わせください。(ご注文は東京支部事務局上野まで。E- mail:tokyo_b(at)ieij.or.jp (”(at)”を”@”に変更して下さい.) )

このページの先頭へ