東京支部は、昨年の3月に発生した東日本大震災に伴う電力供給不足懸念から、「節電環境調査ワーキング」を立ち上げ、電力使用制限令下で行われた節電対策中の照明環境実態と、電力使用制限令解除後の照明環境について、日本建築学会と連携し、オフィスや商業施設、街路灯などを可能な範囲で調査し分析をおこなった。ワーキングの調査では照度や電力量などの実測、施設の管理者や執務者へのアンケートを行い、また東京支部照明フォーラム企画委員会が行った照明基礎講座参加者約500名へのアンケート結果も含め、多くのデータを集めることができた。そしてこれらの分析を進める中で、今後への対応の端緒が見えてきた。
これらの内容を会員はじめ関係方面の方々と共有し、今後に生かしていくために「節電で見えてきたこれからの灯り」と題して技術セミナーを開催致した。以下にその実施概要を報告する。
平成24年3月23日(金) 13:15〜16:45 参加者 72名
東京ウイメンズプラザ視聴覚室 東京都渋谷区神宮前5-53-67
高橋(文)支部幹事の司会進行で、小山WG主査より開会挨拶と今回の節電環境調査ワーキングの活動概要、技術セミナーの主旨を説明したあと、3部構成で技術セミナーを開始した。
1.節電環境調査ワーキングの活動報告
①日本建築学会と連携して進められたオフィス部門の節電実態調査結果についてWGのオブザーバーで千葉工業大学の望月先生より、商業施設部門の調査結果について同ワーキング委員で大光電機株式会社の瀬川氏より、それぞれ得られた知見、課題等について報告頂いた。 (講演1)
②屋外関係として同調査ワーキング委員で岩崎電気株式会社の山田氏より、東京都内の外灯調査から得られた知見、課題等について報告頂いた。 (講演2)
③昨年7月に行われた照明基礎講座東京スクーリング受講生対象の節電に関する独自のアンケート調査の分析結果と得られた知見等について、東京支部照明フォーラム『ヒトヲミタスヒカリ』 (昨年11月)で発表された内容を技術セミナー用にリメイクし、「節電による照明環境」と題して、同フォーラム企画委員会委員でパナソニック株式会社の岩田氏よりご報告頂いた。 (講演3)
2.有識者、業界のオピニオンリーダーによる技術面、デザイン面からの取り組み事例紹介の講演として、それぞれエンジニアとデザイナーにご講演頂いた。
①エンジニアからは「節電の実態と課題〜これからの照明技術への期待〜」と題して、株式会社日建設計設備設計部長の滝澤氏に、今回の震災後に節電対策として行われた実例等の紹介や今後の取り組み、課題についての講演を頂いた。 (講演4)
②デザイナーからは「日本の照明はまぶしすぎる」と題して、ライトデザイン代表の東海林氏にパプアニューギニアの電気の無い島の体験を踏まえた今後の照明のあり方、かかわり方について示唆に富んだ貴重な講演を頂いた。 (講演5)
3.第3部のパネルディスカッションでは、東京工業大学の中村先生にフォーカシングスピーチと司会進行を、小山氏にも進行役として参加していただき、5名のパネラー (望月氏、山田氏、岩田氏、滝澤氏、東海林氏)とパネルディスカッションを行った。今回の節電環境調査ワーキングの活動や講演内容に関し活発かつ斬新な意見の交換が行われ有意義なパネルディスカッションとなり、技術セミナーの締めくくりとして満足のいく結果となったと自負している。以下に意見、方向性の一致を見た主な視点を記す、参考にされたい。
最後に小野支部長より閉会の挨拶を頂き、タイトなスケジュールの中で予定通りの時刻に閉会する事が出来た。講師はじめ諸関係者のご支援、ご協力に感謝申し上げます。
開会挨拶と節電環境調査WGの活動概要説明 小山主査
講演1 オフィス、商業施設調査報告 望月講師
講演1 オフィス、商業施設調査報告 瀬川講師
講演2 外灯調査報告 山田講師
講演3 節電による照明環境 岩田講師
講演4 節電の実態と課題 滝澤講師
講演5 日本の照明はまぶしすぎる 東海林講師
パネルディスカッション 司会 小山氏 中村氏
パネルディスカッション パネラー
パネルディスカッション
左より東海林氏、滝澤氏、岩田氏、山田氏、望月氏
閉会挨拶 小野支部長