第25回照明フォーラム「〜魅せる光〜 Art×Technology×Light 」結果報告

 第25回照明フォーラムが2014年11月4日(火)、日本大学理工学部 駿河台キャンパス 1号館 CSTホールにて開催されました。テーマは「〜魅せる光〜 Art×Technology×Light 」です。

 自然光・人工光を問わず、誰しも光に魅せられた記憶を持っているのではないでしょうか。さらに近年ではIT・光学技術・照明器具の飛躍により、今まで創造できなかったようなダイナミックでエンターテイメント性に富んだ光空間・アートが私たちの身近なものとなっています。今回は、人を魅了する光について、魅せる光とは一体何なのか、なぜ魅了されるのかにクローズアップいたしました。

 最初に委員による企画の発表、その後分野の異なる3名の講師をお招きし、それぞれの分野における「魅了する光」についてご講演いただきました。

 委員による企画では、「私たちが、魅た風景」と題して、メンバーから集めた「魅せられた写真」をもとにプロジェクションマッピングのプログラムを二部構成で作成しました。第一章では自然光について季節の軸をベースに四季を彩る言葉とともにたどっていきました。第二章では人工光について、あかりの歴史とともに人々がどう魅せられたか紐解いていきました。
 委員企画のプロジェクションマッピングをご覧になった参加者の方々が、イメージが喚起されたところで各講師の講演を聞いて頂きました。

 講師講演1は、石多 未知行氏 ( 空間演出家 / 一般財団法人プロジェクションマッピング協会 代表理事 )による「プロジェクションマッピング 広がる映像表現のフィールド」です。プロジェクションマッピングの作り方から始まり、企画なさっているメディアーツ逗子でプロジェクションマッピングの大会を通して海外からの参加者を集め注目度を上げているお話を伺いました。映像表現の技術の躍進を超え、まちづくりといったソフトへ可能性を感じさせる講演でした。

 講師講演2は、小松 宏誠 氏 (アーティスト)による「自然とテクノロジーを交錯させる_光について」です。学生時に魅了された羽を作品のモチーフとし、浮遊感を演出するために様々な素材や照明をトライ&エラーを繰り返しながら空間を作り出している姿勢をご紹介頂きました。光が当たることで生まれる影やプリズムを作品の見方を複層的にする要素として見出しているお話は、より一層の飛躍を感じました。

 講師講演3は、藤原 工 氏 (美術照明家 照明デザイナー / (株)灯工舎 代表)による「魅せる≠見せる」です。仏像展示の際に、劣化させない照明の色温度を選ぶという技術的な点だけでなく、仏像が持っている存在感を引き出すために、瞳に照明を当てたり、仏像に影が複数できないよう照明の距離を調整したりと、魅せるために様々な工夫をしているお話を伺いました。ライティング手法を考える際に展示物を読み解く能力が、展示の質をあげるという美術照明家としての意気込みさえも感じられる講演でした。

 小休憩を挟み、最後は三人の講師によるフリートーク。それぞれが「魅せられた光」ご紹介いただきながら、魅了された経験の原点となる場所や現象を説明していただきました。 また講師からお互いへの質疑・感想を頂き、分野の異なる立場から「魅せる光」への取り組み方などを伺いました。

 今回のフォーラムでは、学生、照明メーカー、建築・建設業者の参加者が主でした。照明そのものだけでなく映像やアートを魅せるためにどう工夫しているのか何に気を使っているのか、各々の分野のお話を伺い、普段聞くことができないような内容の聞ける濃い講演だったとご好評頂きました。

 照明フォーラム企画委員会では、今後も時代に即したテーマを取り上げていきたいと思います。来年度も是非ご期待ください。 なお今回のフォーラムに残念ながらご参加いただけなかった方のためにも、委員企画のプロジェクションマッピングの動画をアップしました。併せてご参照ください。

YouTube(別ウインドウ):第25回照明フォーラム「〜魅せる光〜 Art×Technology×Light 」


CSTホールエントランスとポスター


満員となった会場


委員企画の発表(自然光×言葉)


委員企画の発表(あかりの歴史)


トークセッション風景


 

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