第26回照明フォーラムが2015年11月9日(火)、日本大学理工学部駿河台キャンパス1号館CSTホールにて開催されました。テーマは「光を描く。光で描く。」です。
幻想的なシーンに欠かすことのできない「光」。光の描写は、場面の印象を私たちの中により強く焼き付けます。一方で、室内を屋外に、夜を朝に。虚構を“現実”に変えることも可能な光。巧みな光の表現は、時空を超えた“非日常”の世界へ私達を引き込みます。 今回は、光をどう表現するのか。光でどう表現するのか、映像表現における「光の描写」にクローズアップしました。
最初に委員による企画の発表、その後分野の異なる3名の講師をお招きし、それぞれの分野における「光を描く。光で描く。」についてご講演いただきました。
委員による企画では「映像の中の光の描き方」をテーマに、映像照明における基本の3灯照明(キーライト、フィルライト、バックライト)と代表的な7つのライトポジションの照明効果を、実際に委員で照明を持ち寄り、撮影した写真を基に説明していきました。そして委員から集めた映画やアニメ、絵画の中の印象的な光のシーンをライトポジションで分類し、照明による効果を考察し紹介しました。
次に各講師による講演を聞いて頂きました。
始めは東海林 弘靖氏(照明デザイナー/LIGHTDESIGN INC.代表)です。設計時のブルーのラシャ紙に描いた建築平面図に光と闇のバランスを見ながら色鉛筆で“光を描く”手法や、それが現実に実現した竣工時の“光で描いた”様子など、ご自身の手懸けられた照明デザインを例にお話頂きました。
2番目の講演は小倉 宏昌氏(アニメーション背景作画/小倉工房代表)です。画面の中の光を描く際には、映画や過去に訪れた場所など自分の中にある記憶から引き出す、こんな光があると良いのではとイメージするなど、実際に作画を行う際の手法や過程についてご自身の作品を例にご説明頂きました。
最後のご講演は安河内 央之氏(照明技師/アキルフィルム代表)です。映画照明を始めた頃から現在までを思い出の写真と共に、当時の映画照明において画期的な試みであった蛍光灯ライティングや、撮影用に行われた古民家改修により現在は町おこしの一端を担うなど多岐に渡る活動についてお話し頂きました。
小休憩を挟み、メインイベントのトークセッション。東海林氏に進行頂き、25個のキーワードから講師や会場からお題を選択して頂く形式で行いました。講師の方々が携わった作品に関するエピソードや裏話、互いの分野に対する印象などをお伺いすることができ、質疑応答のコーナーでは会場からも多くのご質問を頂き、盛り上がりを見せました。
今回のフォーラムでは、普段の照明とは一味違った映像の中の光の描写をテーマに様々な分野のお三方にお話し頂きました。企画の時点では分野により異なる点が出てくるだろうと考えていましたが、お話を伺うと「光を描く」ということに対する姿勢や考え方など共通点が多くあり、非常に印象的でした。お越しいただいた皆様にも、「光の描き方」という映像作品の新たな視点が生まれたのではないかと思います。
照明フォーラム企画委員会では、今後も時代に即したテーマを取り上げていきたいと思います。来年度も是非ご期待ください。 なお今回のフォーラムに残念ながらご参加いただけなかった方にも、委員企画の動画をアップしました。併せてご参照ください。
YouTube(別ウインドウ):第26回照明フォーラム「光を描く。光で描く。」
委員企画
トークセッション①
トークセッション②