照明施設賞について

 照明施設賞は、国内各地域における照明利用の水準を高め、照明技術の発展と普及に貢献し得る優秀な業績を顕彰するものです。住宅・事務所・店舗などの建築はもちろん、公共・交通施設、景観や行事の演出など、屋内外を問わず広範囲を対象とします。

2023年照明施設賞 東京支部審査委員特別賞 一覧

本年東京地区は44件の応募施設より下表の8件が選ばれました。

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施設名 所在地 受賞者名(敬称略) 写真
1 ふかや花園プレミアム・アウトレット 埼玉県深谷市 三菱地所・サイモン株式会社 亀原 崇司
株式会社三菱地所設計 野口 浩平
株式会社三菱地所設計 冨山 凌
審査委員からのコメント
「地域の発展に貢献もする観光拠点」をいう施設コンセプトの具現のため、建物外観にはじまり、室内、サイト内広場およびストリートに至るまで趣向を凝らした照明づくりがなされている。大屋根の照明ではダイナミックで多様な色彩によりフォトジェニックな照明演出が素晴らしい。地域との共生、施設固有の造形を生かした照明演出、抑揚のある照明計画である。
2 堀ビル保存活用改修工事 東京都港区 株式会社竹中工務店 宮戸 明香
株式会社竹中工務店 宮﨑 勘太
株式会社竹中工務店 梅澤 拓実
株式会社竹中工務店 丸林 哲
審査委員からのコメント
東京都選定歴史的建造物であり、登録有形文化財としての建築物に寄り添った照明計画が施されている。大きな窓の利点を活かし照明を適切に配置することによって、建物内外の隔たりを感じさせない効果を得ている。また古いオフィス空間の味を残せるように、自由度のあるタスク・アンビエント照明が丁寧に配置されている。
3 静嘉堂文庫美術館(明治生命館) 東京都千代田区 株式会社竹中工務店 江湖 猛敏
株式会社竹中工務店 大内 靖志
株式会社竹中工務店 望月 政成
株式会社丹青社 山森 博之
審査委員からのコメント
重要文化財の改修で、オリジナルの様式的な意匠形状を保存しつつ、金属やガラスといった現代的な意匠を付与し、またハーフミラーパネルや遮光フィルター貼りのガラスレイヤーなど、反射と等価の重なり合いが共鳴する空間となっている。既存の建物の様式美を尊重し、新設美術館スペースとバランスを上手く実現している。
また美術館エリアにおいてはスライド収納式視野調整パネルなど、新たな考察と工夫が見られる。
4 三菱ケミカルScience & Innovation Center本棟 神奈川県横浜市 株式会社竹中工務店 北澤 諒
株式会社竹中工務店 大坂 高敬
株式会社竹中工務店 新川 隆将
有限会社シリウスライティングオフィス 戸恒 浩人
審査委員からのコメント
運営を開始した当初からのケヤキ並木を主役に「自然を内包する」空間のを実現している。メインとなるクロスロード(半屋外空間)の形状に立体感を与え、ケヤキ並木のシルエットを効果的に浮き立たせる照明手法はストーリー性を感じ、ここで働く人の心の原風景となりうる。
5 プロロジスパーク八千代Ⅰ 千葉県八千代市 プロロジス 
大成建設株式会社一級建築士事務所 
審査委員からのコメント
倉庫部分は省エネに特化した制御システム、利用者を迎えるエリアや休憩スペースでは、人に寄り添った調光調色制御で、機能性のみが重要視されがちな施設のなかで、快適で安らぎのある健康的な照明計画となっている。倉庫という閉じられた空間に対して照明を効果的に用いた一つの事例である。
6 緩和ケア病棟|いまここ| 静岡県富士市 ぼんぼり光環境計画株式会社
株式会社山﨑健太郎デザインワークショップ
医療法人社団秀峰会川村病院
審査委員からのコメント
末期がん患者や家族が日常生活を送る感覚で過ごせる病院として「住宅のような照明」という光環境をコンセプトとしているため電球色クリアランプを中心としたシンプルな照明手法で計画している。その手法により、空間全体に光が広がる計画としている。
ホスピスの周辺環境についても、照明実験や提案書による働きかけを行っており、対象施設外への取り組みににより環境改善を波及させる狙いの活動は評価される。
7 アズビル第103建物 神奈川県藤沢市 アズビル株式会社
株式会社日建設計
コイズミ照明株式会社
審査委員からのコメント
調光調色が可能なLED照明とDALIシステムを組み合わせ、サーカディアンリズムを意識した照明計画や、温度によって照度や色温度が変化するシステムなど実験的な試みが実施されている。単なる照明演出にとどまらない機能的な照明制御を行い、他の施設よりも一歩進んだHCL(Human Centric Lighting)を実現している施設の好例と言える。
8 玉造幼稚園 千葉県成田市 学校法人浅野学園 浅野正博
株式会社NHA 橋本尚樹
株式会社上條・福島都市設計事務所 上條慎司
飯塚千恵里照明設計事務所
審査委員からのコメント
園児の視線という、施設内容独自のフィルターを追加することでのユニークな視点が生まれてオリジナルな発想が生まれている。高演色性のランプの活用、天井からの人工光源はなるべく間接照明にする、深い軒庇で過剰な光のコントラストを避ける建築の工夫など、何を光環境形成の主軸に据えているかが明確なプランである。建築の形を印象深く見せ、楽しさを演出する照明手法になっており、園児がワクワクする空間づくりに貢献している。

2022年照明施設賞 東京支部審査委員特別賞 一覧