照明学会は、街路を明るくすることが、住民の皆さまの不安感の解消や、ひったくり等街頭犯罪の防止に役立つと考え、防犯照明による“安全・安心まちづくり”を進めるため、次の活動を行っています。
防犯照明に関する体制
照明学会関西支部では、平成15年度、大阪府柏原市から「防犯灯実態調査業務」、八尾市から「防犯灯実態調査業務/暗がり診断」を受託し、調査ならびに提言活動を実施しました。
防犯照明に対する自治体等の関心が高まっており、照明学会関西支部に対し今後も同様の依頼が行われる可能性があることから、平成16年度、照明学会関西支部内に「防犯照明調査委員会」(委員長:元摂南大学の野口透先生)を設立し、より実践的な調査・提言が行えるよう体制を整えました。本委員会の下には、調査の実施チーム(代表:須谷修治氏)を組織しております。
平成16年度の活動
1.大阪府「府管理施設周辺の防犯照明実態調査業務」
平成16年度は、大阪府から「府管理施設周辺の防犯照明実態調査業務」を受託し既に調査を完了しました。本業務では、府営住宅、府立高校・高専、福祉会館など(37施設)の府管理施設について「これら施設の周辺街路の暗いことがひったくりや痴漢事件が発生する一因ではないか?」と考え、街路の明るさなどの調査を実施しました。
大阪府では、本調査結果を受けて、そのうち2ヶ所を選定し防犯照明のモデル施設を年度内に完成させ、また、残りの施設についても順次予算化して防犯照明の改善を行われる予定です。
本調査結果で最も気になったことは、街灯や防犯灯の灯具グローブの汚れや寿命ランプの継続使用など維持管理が適切に行われていないことでした。このことが、施設周辺が暗い原因の過半数を占めています。
某府営住宅周辺道路の現場写真(昼・夜間)を下のとおり紹介します。
2.八尾市「防犯灯実態調査業務」
平成16年度後半には、八尾市から平成15年度に引き続き「防犯灯実態調査業務」を受託し取り組みました(平成17年3月まで)。
八尾市では、平成15年度、防犯灯の補助金で従来式防犯灯(蛍光ランプ直管20形FL20SS)からシステム効率が高く新タイプのインバータ式防犯灯(コンパクト形蛍光ランプ32形FHP32)に切り替えられました。
今回は、住民と一緒に校区内を巡回して街路の明るさについて勉強していただきながら、専門家として継続調査・提言を行いました。
平成17年度の活動
関西支部「防犯照明調査委員会」と(社)日本防犯設備協会防犯照明委員会の委員を中心に「防犯照明の見え方に関する研究委員会」(委員長:摂南大学岩田三千子教授)を組織し、活動を行った。白色蛍光ランプと橙色・高圧ナトリウムランプによる歩行者の視認性に関して、78名の被験者により評価実験を行った。
4m先の人物や10m先のランドルト環などの見え方に関して、蛍光ランプが高圧ナトリウムランプに優る等、住宅地などの防犯照明用の光源としては、3波長形など演色性に優れた、高効率の蛍光灯防犯灯が望ましいとの結論を得た。
平成18年度の活動
奈良県警察本部(犯罪抑止対策室)、(財)奈良県防犯協会などと連係し、日本色彩学会関西支部の協力を得て、「防犯照明の見え方に関する研究委員会」の活動を行った。
今年度の活動では井上容子氏(奈良女子大学)を委員長とし、(財)社会安全研究財団と(財)奈良県防犯協会からの研究助成を受けた「青色防犯灯の犯罪抑止効果に関する実証研究」(代表者:井上容子氏)をテ−マとして、最近、話題になっている青色防犯灯設置箇所の実態調査、犯罪発生率および色光の見え方への影響に関する研究を行った。 |