6月13日(金)岩崎電気株式会社のご協力により、学生10名の参加を得て見学会を岩崎電気株式会社埼玉製作所にて実施した。

　岩崎電気株式会社埼玉製作所の3階の照明展示室にて、佐々木取締役のご挨拶のあと、岩崎電気株式会社の紹介DVDやパンフレットなどにより会社概要の説明が佐藤総務課長よりあった。その後、2グループに分かれて少し蒸し暑いHIDランプ工場内のランプ製造ラインの見学を行い、工場見学後、再度、照明展示室に戻りHIDランプの商品説明について具体的にＨＩＤランプなどを手にしながら山崎氏、青木氏より説明をいただいた。今回の見学会は体験形の大変充実した見学会であった。

見学会の感想が参加者より届きましたので以下に紹介いたします。

　「日本大学生産工学部大学院　三石明彦氏より寄せられた感想」

　このたび、照明学会東京支部主催による「学生のための特別見学会(岩崎電気株式会社　埼玉製作所)」に参加させていただきました。

　私は、現在、東西光(照明)文化、照明デザイン、プロダクトデザイン、および照明に関する応用研究を行っている研究室に在籍し、自身の研究テーマ(大学院)として「都市景観照明における都市景観美の定量評価・解析に関する研究」を執り行っております。

　しかしながら、大学および大学院に設けられた「照明」に関する講義にて、各種光源の構造、点灯原理、諸特性などについては学んだものの、今までに、一度もHIDランプの製造工程を見たことがありませんでした。常々、製品の大部分が壊れ易いガラスでできているランプ本体の固有の形状成型と複雑な点灯部品類の装填を機械がどのように、かつオートメーションで製造するのかについて、大変、興味を持っておりました。以下に、今回の「学生のための特別見学会」に参加しての感想を記します。

　今回の見学会では、訪問先企業の会社概要、HIDランプの製造工程の見学、ミニ講義(HIDランプの技術解説)という3つのセクションに分かれていました。

　はじめの第1セクションでは、訪問先企業の会社概要説明で、岩崎電気株式会社の紹介と自社製品の納入事例の紹介がビデオ形式で行われました。HIDランプというものは、照明関係の仕事に携わる方々、もしくは照明に深く興味ある方々を除き、一般的には、そのものが何処で、どのような工程により作られているのかを知ることはないのではと考えます。納入事例の紹介ビデオ映像の中で、自分の知っている場所、訪れたことがある場所などが紹介されたときは「ここもそうだったのか…」と、ちょっと嬉しい気分になると共に訪問先企業の実績を知ることができました。

　続いての第2セクションでは、今回の見学会のメインプログラムであるHIDランプの製造工程の見学が行われました。今回の見学会では、２つのサイズのHIDランプの製造工程を見ることができました。HIDランプは、自分の予想より遥かに多くの製造工程を経て作られていました。 例えば、ランプ本体のガラス管の内部に蛍光体を塗布させる際は、ただ単純に蛍光体を吹き付け塗装するのではなく、蛍光体を均一に塗布するためにガラス管を一度温めて電荷を帯電し易くした後に、そこに微弱電流を流して静電塗装を行い、さらに塗布した蛍光体が剥離しないように焼き付け処理を行っていました。

　また、工場らしい知恵と技を随所で見ることができ感動しました。例えば、ランプ本体のガラス管をつかむロボット・アーム部がガラスを割らないような工夫、製造工程の各種機械のバランスを保つための工夫などが挙げられます。これらはその製造工程および機械を扱う方々の多くの苦労と経験の末に、たどり着いたノウハウではないでしょうか。

　さらに驚かされたのは、工場の内部(作業場)が、非常に高温であったことです。ランプ本体(外管)とランプのコアとなる内部発光管とを結合するために、ガラスの一部を一度溶かす必要があり、そのために工場の内部が高温環境になることは止むを得ないことではあると思いますが、夏場にランプの製造工程に従事している方々のご苦労を感じました。しかし、そのような現場職人の魂とご苦労があるからこそ、クオリティーの高い製品を生み出すことができるのだと改めて感服しました。

　最後の第3セクションでは、HIDランプの製造工程の見学後に、実売されている諸製品を見ながら、訪問先企業で製造されているHIDランプの製品開発とその製造に携わっている技術者の方によるミニ講義(HIDランプの技術解説)を受けました。ミニ講義では、HIDランプの高演色性、色温度幅、調光機能などを、見て、聞いて、何よりも直に触ることができ、かつ難しいHIDランプ技術に関する解説が平易であったため、非常に分かり易かったです。

　今回の照明学会東京支部主催による「学生のための特別見学会(岩崎電気株式会社　埼玉製作所)」を通して、HIDランプの製造の一つをとってみても、非常に多くの知識と技術が使われ、さらにそこにランプ製造工程で働く現場の方々の大変多くのご苦労とノウハウがあることを改めて感じました。そして、それら一つ一つを組み合わせた集大成により、世界に誇れる高性能なHIDランプが生み出されていることも分かりました。普段なにげなく過ごしている生活空間の色々な場にあるHIDランプにも多くの背景があることを知り、照明に関する興味がさらに湧き起ちました。ことわざ「Seeing is believing」の通りです。今回の「学生のための特別見学会」に参加して、本当によい経験になりました。

　最後になりましたが、今回お忙しい最中、快くHIDランプの製造工程を見学させて頂きました岩崎電気式会社　埼玉工場の関係各位の皆様、そして、今回の「学生のための特別見学会」を企画・運営してくださった照明学会東京支部の関係各位の皆様に改めて御礼申し上げます。 本当に有難う御座いました。